安珍・清姫~娘道成寺~執心鐘入へとつながる情念の物語
そこから編み出されたダラン梅田英春が挑む初の創作ワヤンです。
パンダワ一族は、コラワ一族アヨディア国の半分を与えられ、インドラプラスタという名の王宮で、
長男ユディスティラが王となり統治をしていた。
王国をより盛大にするための儀礼を行うにあたり、パンダワの一族の指南役クリシュナは、
儀礼を行うにあたり、パンダワ一族の指南役クリシュナは、儀礼の日までにユディスティラ
の弟アルジュナとビマそれぞれに11種類の異なる特別の色の花、11種類の奇妙な動物を
探してくるように命じたのだった。二人はみなこともない花や動物を求めてアヨディヤ国を出発する・・・
夕暮れ、アルジュナは長い旅の中やっとの思いで11種類の花を探し出し、それを枯らさないように大事に持って帰路につく。
そんなある日、すっかり日が暮れてしまい、こんまま歩いて折角の花を山道に落としてしまうのも忍びないと、
一夜の宿を求めることにしたのだった。
泊まる場所を探していると、遠くに灯りが見えてきた。
鬼神羅刹(らせつ)が治めるグリヤハナワ国王ロドラケサには大きな悩み事があった。
何故ならば年頃の娘サティヤワティは夢の中に出現したアルジュナという武将に恋してしまい、
王が連れてくる男性に誰一人興味を持たなかったからである。
涙を流す娘の前で、義父ロドラケサは、娘の願いを叶えるためにアルジュナという武将を探しに行く約束をした。
「娘よ、私がアルジュナという男を探しに行こう。しかしその間、絶対に家の外に出てはならぬ。
そして誰が来ても扉を開けてはならぬ」と。
灯りを頼りにやっとのことでアルジュナがたどり着いた家は、サティヤワティが留守番をするロドラケサの家だった。
扉をたたいて一夜の宿を乞うが、サティヤワティは父との約束を守り、
誰も家に入れることはできぬとアルジュナの願いを断る。
しかしアルジュナは今一度、お願いする。
「私はパンダワ一族のアルジュナと申します。
インドラプラスタで行われる儀礼のための供物を枯らすことができないのです。
どうか一夜の宿を・・・」
サティヤワティは扉の外にいる男が夢にまで見たアルジュナであることを知ると、
自身の姿を美しい女性に返信し、アルジュナを迎い入れる。
そして唐突にアルジュナに愛の告白をし、求婚する。
突然の言葉にアルジュナは驚き丁重に断るのだった。
神までがビマにことごとく退散させられます。
アルジュナは見つけられず、王宮に戻ったロドラケサは、部屋の中にいるアルジュナが娘の求婚を断ったことに激怒する。 最後にロドラケサの家来や王との戦いになってしまうが、戦いの隙をみてアルジュナは逃亡する。 そして、アルジュナをあきらめきれないサティヤワティは、その後を追う。
森に逃げるアルジュナと家来は、森の奥深くにある僧侶たちの修業をする庵を訪れ、事情を話して匿ってもらえるように願う。 事情を察した僧侶たちは庵の奥にアルジュナを隠したのだった。 庵を訪れたサティヤワティは、高層ケサワに聞く。 「ここにアルジュナは来ませんでしたか?ここに入ったのを私は見たのです。」 「いいや、ここには誰も来ていない。嘘だと思うのであれば、探してみればいい。」 そして、サティヤワティはアルジュナを探すが見つけることができず、最後には寺には寺にあった大きな銅鑼(ゴング) の中に入ってアルジュナを探すのだった。 「サティヤワティよ。いつまで銅鑼の中に探しているのだ?そこにはアルジュナはいないぞ。」
銅鑼から姿を現したサティヤワティは、アルジュナを想う情念によって鬼女の姿となっていた。
そして、本当のことを話さない高層ケサワに怒りをぶつける。
ケサワもまたその怒りへと変身し大混乱となるが、その決着はつかないのだった。
ケサワは最後にアルジュナを呼ぶ。
「アルジュナよ。鬼女と戦うのだ。」
そして、アルジュナが放った矢が鬼女の胸に深く刺さったとき、そこには驚くような展開が待っていた。