パンダワ一族とコラワ一族は親族同士でありながら、王位継承をめぐり反目していました。 コラワ一族の長男トゥルヨダナは、パンダワ一族をいかさま賭博に誘い、あらゆる財産と土地を奪ってしまい、パンダワ一族に長年にわたる森での生活を強制します。 そんな中、パンダワ兄弟の三男アルジュナは、来るべき戦いに備えて瞑想をして、その成功の暁に、シワ神より超能力兵器を得ます。 ところが、兄達の元へ戻ろうとするアルジュナのもとへインドラ神の使いが現れ、アルジュナをインドラの世界に導きます。
◆善い人側の人形(スクリーン影側からみると左側から登場します)
アルジュナ:
パンダワ五兄弟の三男。
美男子であらゆる武芸に秀でた無敵の武将。
スプラバ:
インドラ神の娘。絶世の美女
◆悪い人側の人形(スクリーン影側からみると左側から登場します)
ニワタカワチャ:神々の国を侵略しようとする魔王。
インドラ神と対面したアルジュナは、なぜ自分が神々の世界に連れてこられたのかを尋ねます。
インドラ神は、自らの世界が魔王ニワタカワチャに侵略されており、魔王は妻にするためにインドラの娘、天女スプラバを要求していること伝えます。
「どうか、神々の世界、そして娘スプラバを助けて欲しいのだ。」
インドラはシワ神から武器を授かったアルジュナに助けを請います。
アルジュナはインドラ神の願いを聞き入れます。
そして、魔王ニワタカワチャを斃すための妙案を思いつきます。
「天女スプラバ様をニワタカワチャ退治に連れて行きたいのです。」
そして、インドラ神は静かにその願いを聞き入れます。
魔王ニワタカワチャが支配するヒマンタカ国は大賑わい。
あと少しでインドラの世界を征服し、王が妻として天女スプラバを娶ることになることを、人々は皆知っているからです。
そんな時、王の従者デレムとサングトは、インドラ神が降伏して、天女スプラバがヒマンタカ国にやってくるという噂を耳にします。
「そりゃいい知らせだ。早くニワタカワチャ様に伝えないと。」
二人は大急ぎで宮廷に向かいます。
魔王ニワタカワチャの宮廷に到着したアルジュナと天女スプラバ。そこでアルジュナは自らの策を明かします。
「天女スプラバよ。あなたが一人で王宮に赴くのです。あなたは、使者となり、ニワタカワチャの弱点を聞き出すのです。
私は宮廷の中を一望できる大きな木の上でニワタカワチャを覗います。
何かあれば、この私があなたを必ず守ります。」
スプラバはアルジュナの言葉を信じ、一人、神々の世界を救うための使者となり王宮へ向かいます。
魔王ニワタカワチャは自分と結婚するために一人でやってきた天女スプラバを歓待します。
そして彼女を自室へ招待し、すぐに自分の妻になるように迫ります。
スプラバはアルジュナに教えられた通りに優しく、囁くようにこう言います。
「ニワタカワチャ様、私はいつでもあなたの妻になりましょう。ただその前に一つだけお願いがあるのです。
どうかあなたの弱点を教えてください。妻は夫のすべてを知りたいと思うものなのです。
そうすればあなたも私のすべてを手に入れることができましょう。」
我を忘れたニワタカワチャはスプラバの耳元でつぶやきます。
「私の弱点は、舌の根元なのだよ・・・」と。
スプラバは大声でニワタカワチャの弱点を叫びます。
それを聞き逃さなかったアルジュナは、魔王ニワタカワチャに襲いかかります。
一進一退の戦いが続きましたが、相手に油断させた隙を見て、アルジュナが魔王の弱点の舌の根元を射抜きます。
スプラバは無事にアルジュナのもとに戻り、インドラの世界へ戻っていきます。
韻律詩『アルジュナの結婚』では、インドラ神の世界へ戻ったアルジュナとスプラバは結婚します。
それが韻律詩のタイトルとなっていますが、この「天女スプラバ使者に立つ」の公演では、ニワタカワチャがアルジュナに斃されるまでを上演します。