演目の物語
上演した演目の物語について説明します。
勇者ビマ天界へ赴く(Bima Swarga)
「勇者ビマ 天界へ赴く」は、バリのワヤンの中では非常に有名な演目です。
この演目は、死と関わる一連の儀礼(ビトラ・ヤドニャ)の中で、使者の魂が天界へ召されることを願って上演されるため、
単なる娯楽的な演目ではなく、儀礼的な色彩の強い演目です。
また、マハバラタ物語の登場人物を用いますが、インドに伝えられるマハバラタ物語の中にこの挿話はなく、
バリ版マハバラタ物語の演目です。
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アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)
11世紀にジャワで創作された韻文作品「アルジュナの結婚」の一挿話です。 この内容は、インドを起源とする全18巻で構成されるマハバラタ物語の第2巻「森の巻(サバ・パルワ)の中に記されています。 しかし、ジャワで誕生した「アルジュナの結婚」は、その内容を膨らませ、新たな創作も加えたインドネシア風マハバラタ物語といえます。
天女スプラバ使者に立つ (Supraba Duta)
「天女スプラバ使者に立つ」は、11世紀ジャワで創作された韻律詩「アルジュナの結婚」の後半部分を演目かしたものです。
インドで誕生したマハバラタ物語は9世紀頃にインドネシアに伝わりますが、その後ジャワの詩人達が
独自の物語を創作していきます。
この「アルジュナの結婚」もそうした創作の一つで、全18巻から構成されるマハバラタ物語の
第2巻「森の巻」の一部に基づき創作されています。
父インドラの頼みを受け、祖国のため、愛のため、天女スプラバは危険を承知で勇者アルジュナと共に、
魔王ニワタカワチャのもとへ使者に立つ。そのとき、アルジュナの胸にはある秘策が・・・。
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不殺生の教え〜スタソマ物語より
仏陀の化身であるスタソマは、マハメール山(須弥山)へ瞑想へ行く途中に、
象の顔を持つ人喰いの魔物ガジャワクトラ、巨大な竜、
そして腹をすかして自分の子どもを食べようとしている虎の母親に出会う。
スタソマは、決して自らが戦うことなく、ガジャワクトラや竜に殺生がいかに無意味なことかをさとし、
自分の家来にしていまう。また腹をすかした母虎には自らの身を捧げる。
インドラ神により、命を吹き返したスタソマ王は、不殺生を説き、
虎の親子もまたスタソマの家来となって須弥山へと向かう。
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プルサダの改心〜スタソマ物語より
人喰い王として知られるプルサダは、自らの怪我を治してくれたカラ神にスタソマを捧げるため、 アスティナ国を攻撃する。アスティナ国の武将、ダサバウとの激烈な戦闘に勝利し、 最後はスタソマとの一騎打ちになるが、スタソマ自身はヨガの姿でプルサダと戦おうとはしない。 それを見たプルサダが、その命を奪おうと矢を放つが、すべての矢は蓮の花に変わってしまう。 プルサダはスタソマにこれまでの愚かな行為を詫び、改心することを誓う。 スタソマはこの戦いで命を失ったすべての者を生き返らせる。
クンバカルナの戦死
シータ姫を魔王ラワナにさらわれたラーマ王子は、弟のラクスマナや たくさんの猿たちの援軍とともに、魔王の住むランカ島に上陸し、姫を めぐっての大戦争が起きる。ラワナは大臣プルハスタが戦死後、自分の弟 であるクンバカルナを戦闘指揮官に任命する。弟でありながら兄の愚かな 行為をなじり、戦争の無意味さを語りながらも、国民を救うために戦場に 散っていく。悲しくも、勇敢なクンバカルナを描いた演目。
パンダワの奴らは何処へ消えた?
コラワ一族のいかさま賭博に負けたパンダワ5兄弟 (ユディスティラ、ビマ、アルジュナ、ナクラ、サハデワ) とその妻ドゥルパダは、国も財産も奪われ、12年間国に戻ることを許されされず、 さらに13年目はコラワ一族に誰一人見つかることなく1年を過ごさねばならにという 約束をさせられた。 それでも12年を国外で過ごした彼らはこれからどこへ向かい、 何が起きようとしているのか?
鬼女となった姫
創作マハバラタ版「執心鐘入」
安珍・清姫〜娘道成寺〜執心鐘入へとつながる情念の物語
そこから編み出されたダラン梅田英春が挑む初の創作ワヤン!
物語に隠されたサティヤワティの奇しくも切ない秘密とは・・・
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